
人種、年齢、性別など多様性のある人材の意義をウーマン・オブ・ザ・イヤーに見る
今回取り上げるのは「外国人女性起業家への偏見…打ち破り153言語対応通訳アプリ開発」です。
この一年に各界で活躍した働く女性に贈られる「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」の受賞者の一人に、トルコ出身で通訳マッチングアプリ「Oyraa(オイラ)」を開発したコチュ・オヤさんが選ばれました。
起業のきっかけは日本在住の外国人の友人から「日本語がわからない。通訳をお願い!」と行政手続きや不動産契約の通訳をしばしば頼まれたことから、「ビジネスになるかも」と直感したことによるものだそうです。
ビジネスは身近な困りごとや課題を解決するモノやサービスを考えることから始まる、と学んだことがありますが、まさにその好例です。
オンライン会議が当たり前になったコロナ禍から急成長し、アプリ登録者は2024年11月現在で1万4000人。利用者のおよそ40%、通訳者のおよそ57%が海外在住とグローバルで存在感を発揮。さらには、これまで仕事が限られてきた地方在住の通訳者もスマートフォン越しに通訳することも可能であることから、登録する国内通訳者の41%は地方在住で雇用の創出にも寄与しているとのことです。
2021年の東京オリンピック・パラリンピックに続き、2025年開催の大阪・関西万博のパビリオン建設プロジェクトでも通訳サービスを提供。売上の9割を占める法人顧客は900社にのぼり、2024年12月期の売上は前年比の4倍を見込んでいるとのこのことです。資金繰りに苦しんだ時期があったそうですが、身近な気づきから創業してわずか7年でここまで成長させました。
そもそも若い女性が起業をするのはまだまだ大変な中、すでに日本国籍を取得されたとはいうものの、異国で母国語ではない言語を使ってこれだけの事業を拡大させたこと自体、驚嘆に値することだと思います。
コチュさんのような海外出身の経営者は、人口が減少し、市場が縮小する一方の日本経済において、他にはない視点で画一的になりがちなアイデアに突破口を与えてくれるような存在だと改めて思った次第です。