
古巣のNHKの変化や、オランダ・デンマークの事例より。皆が働きやすい環境とは?
今回取り上げるのは「16時に終業するのに世界競争力1位 デンマーク人のすごい時間術」です。
スイスのビジネススクール国際経営開発研究所が67か国の国と地域を対象に調査した世界競争力ランキングによりますと、2022年から23年はデンマークが1位、24年は3位。対して日本は38位と大きく水をあけられています。
デンマークでの働き方の特徴は以下の8つです。
- ランチは30分だけ。雑談タイムでコミュニケーションを取る。
- 夏期休暇は3週間、長期休暇が当たり前。
- 細かいマネジメントはなし。信頼して「任せる」で管理職の負担軽減。
- 15時から帰宅モードに切り替え。「終わり」を意識してスパート。
- 16時までに終わらない仕事は21時以降や翌朝に片づける
- 優先順位を明確にし、「大切にしたいもの」以外バッサリ切り捨てる
- 会議は短く延長なし。発言しない人は呼ばない。
- 意思決定に関わる人を減らしてスピードアップ
デンマークと日本とでは、人口規模や文化、風土などが異なるため一概に比較はできないかもしれませんが、日本の企業文化を変革するために学べるところがたくさんあると思います。
また今回の記事を読んで、オランダで推進された「ワークシェアリング」について想起しました。これは、ひとつの仕事を複数の労働者でシェアすることで雇用機会を増やし、失業率の改善や労働時間の短縮を実現させる手法です。
私が新卒以来ずっと関わっている古巣のNHKでも「ワークシェアリング」がここ数年広まっている印象を受けます。私はここ10年以上にわたって、NHKラジオ第一放送の定時ニュースをほぼ毎週1回は担当しているのですが、そこでご一緒する気象予報士の方々が、まさにそのような働き方をしています。以前は月曜から金曜までは「平日担当の予報士」が帯で担当、土、日、祝日は別の方と、かなり厳格に線引きされていた勤務が、ここ数年でガラッと変わりました。予報士の多くは子育て中の母親で、これまではお子さんの体調が悪化するなどの場合は「申し訳ない」と謝りながら誰かに代わってもらっていました。それが現在は、月火が予報士A、水木が予報士B、金と週末が予報士Cなどとゆるやかな分業制になっていて、例えば予報士Aが休みを取る必要がある場合、予報士Bに代わりをお願いする、またその逆もしかりというように運用されています。これによって、突然「休む」ことや、仕事と育児の両立に対してのプレッシャーが劇的に軽減されたそうです。多少給料が下がったとしても、行き詰まって辞めてキャリアが分断されるより、働き続けられることの価値は計り知れません。
かつてNHKの現役アナウンサー時代、テレビの番組を担当していた時は月曜日から金曜日まで当然のように連続で出続けていました。子どもが乳児で夜の授乳を行っていた頃は息も絶え絶えで金曜日を迎えていたものです。最近はNHKの看板ニュース番組である「おはよう日本」なども、キャスターは複数人によるフレキシブルな体制を組んでいて、月から木曜日までの担当と、金から日曜日までの担当に分かれています。
「今まではこうだったから」という固定概念から離れてみることで、みんなにとって働きやすい環境が生まれてくると思っています。