
「アレをアレして」と言わなくするために、できることをしておきたい
今回取り上げるのは、理化学研究所でチームリーダーを務める2児の母、大武美保子さんが取り組む認知症予防支援の研究についての記事「認知症予防は子育て期から 70代・80代からでは遅すぎる訳」です。
いつの頃からでしょうか。頭の中の引き出しがぐちゃぐちゃになって、普段使わない名詞が行方不明になる感覚が出てきたのは。「ほら、アレだよアレ?」と言いながら、「アレ」に付随する情報を伝え、聞き手の助けを得ながら何とか思い出すこともしばしばです。
記憶の中に奥深くしまってある情報を取り出すのに少し時間がかかること自体、さほど深刻にとらえることはないと聞いているのですが、最近その劣化バージョンともいえる「アレをアレして」を言う頻度が増えてきていて、高校生の娘から「大丈夫なの?」と呆れられるとともに心配もされてきています。
そんな中救いとも言えるのは、仕事の場ではそういう発言はしておらず、気が緩んでいる家庭内においての言動であることでしょうか?とはいえ、名詞も動詞もすんなり出てこない状況は決して好ましくはありません。
大武さんによると、「最近体験したことについて話し合う」「話を聴きながら相手の立場を想像し、話が広がるような質問をする」「3分、5分など時間を意識して会話をする」の3点を意識して会話のルールに加えるのが効果的だそうです。
「最近体験したこと」は、私が行っている英語コーチングのクライアントさんとの間で日常的に行っていることであり、「話が広がるような質問」はパーソナリティをしているラジオ番組で常に実行していること、さらには時間を意識した会話は、英語コーチ業アナウンス業いずれも該当することではありませんか。仕事の場でほとんど「アレ」と言わずに済んでいるのは、図らずも脳に刺激がいくことを実践していたためかもしれません。
「アレをアレして」に関しては、リラックスしている証拠として娘から大目に見てもらいたいという気持ちはあるものの、記事によると「できるだけ正確な言葉を使って会話をするよう心がければ、親子で言語能力を高めることができ、将来の認知症予防につながるので、一石二鳥」とのことなので、あまり気を緩めすぎないようにしたいものです。
「語彙に反映される言語能力は、60歳ころまで年齢と共に向上し、高齢期にもほとんど下がらない。言語能力は意識すれば一生を通じて高めることができ、それ以外の、年齢と共に低下する能力を補う」との内容は、英語コーチでアナウンサーという言葉に深くかかわる仕事をしている私にとって朗報ともいえる情報でした。
アルツハイマー病の原因といわれているアミロイドβタンパク質の脳への蓄積をできるだけ食い止めるため、食事や運動にも気を配るなど、取りうる予防策はすべて今のうちからしておきたいと心新たに決意した次第です。